金利上昇期の不動産価格は今後どうなる?最新予測と投資判断のポイントを解説の画像

金利上昇期の不動産価格は今後どうなる?最新予測と投資判断のポイントを解説

不動産購入コラム

名村 祐哉

筆者 名村 祐哉

不動産キャリア24年

親切・丁寧・スピーディーな対応を心掛けております。
どんな些細なことでも、お気軽にご質問・ご相談ください!

金利上昇が続く中で、不動産価格の今後が読みにくいと感じていませんか。
住宅ローン金利や長期金利の動きが気になりつつも、実際の不動産価格は大きく崩れていないように見える場面も多いはずです。
では、なぜ金利上昇局面でも価格は一定水準を保ち、今後どのような予測が成り立つのでしょうか。
本記事では、公的データや不動産投資家調査などを踏まえながら、金利上昇と不動産価格の関係を整理し、今後5~10年の市況を複数のシナリオで考えていきます。
あわせて、投資用不動産を検討・保有している方が今チェックしておきたい実務的なポイントも解説します。
中長期で安定した運用を目指すうえで、どのような視点で市場と向き合うべきか、ぜひ整理するきっかけとしてご活用ください。

金利上昇局面で不動産価格はなぜ崩れないのか

まず、日本の金利上昇の流れとして、長期金利の指標となる国債利回りが物価上昇や金融政策の転換を受けて徐々に上昇してきたことが挙げられます。
長期金利の上昇に合わせて、民間金融機関の住宅ローン金利も、特に固定金利型を中心にじわじわと水準が切り上がっている状況です。
また、住宅ローン金利は長期金利の動きだけでなく、金融機関の資金調達コストや競争状況などの要因も加味されており、必ずしも同じ幅で連動しない点も重要です。
このように、金利は上昇基調にある一方で、そのスピードや水準は金融政策と市場環境により慎重にコントロールされているといえます。

一般に、金利が上昇すると借入コストが増えるため、投資家や住宅取得者の資金繰りが厳しくなり、不動産価格には下押し圧力がかかると考えられます。
収益不動産では、将来得られる純収益を割り引いて価格を評価するため、割引率の上昇は理論上価格の低下要因となります。
また、住宅購入者にとっては、同じ返済負担で借りられる金額が縮小するため、購入可能な価格帯が下がり、需要を冷やしやすい構図があります。
したがって、金利上昇局面が急激かつ大幅であれば、需要減少を通じて不動産価格が調整するリスクは確かに無視できません。

しかし実際には、不動産価格は建築費や土地取得費、賃料収入といった複数の要因で決まり、その中でも近年は建築費の高騰が大きな下支え要因となっています。
建設工事費デフレーターや建築費指数を見ると、資材価格や人件費の上昇を背景に、建設コスト全体が2020年以降高い水準で推移しており、新規供給の採算ラインが押し上げられています。
加えて、賃貸住宅や収益不動産の一部では、インフレや人件費の上昇を背景とした賃料の引き上げにより、運営収益が拡大しているケースもあります。
このように、金利上昇による需要の調整圧力と、建築費・土地費用・賃料上昇によるコスト・収益面からの支えが拮抗することで、不動産価格が急激に崩れにくい構図が形成されているのです。

項目 金利上昇の作用 価格下支えの要因
購入需要 借入負担増による抑制 将来の物価・賃料上昇期待
収益評価 割引率上昇による低下圧力 賃料増加による純収益拡大
供給コスト 開発利幅縮小による新規抑制 建築費・土地費用の高止まり

公的データから読む「金利上昇×不動産価格」の今

まず、公的統計から足元の地価動向を確認しておくことが重要です。
国土交通省の地価公示や都道府県地価調査をみると、全国平均では全用途・住宅地・商業地ともに、ここ数年は緩やかな上昇が続いています。
特に、国土交通省の発表では、全用途平均で5年連続の上昇が確認されており、金利の上昇局面に入った現在でも、全国の地価水準は総じて底堅い傾向にあります。
用途別にみると、商業地や工業地の上昇率がやや高く、住宅地は地域差を伴いながらもプラス基調が維持されています。

次に、商業用不動産市場の動きに注目すると、価格・賃料・利回りの三つの指標がそれぞれ異なるテンポで動いていることが分かります。
日本銀行の金融システムレポートでは、商業用不動産価格が上昇する一方で、賃料も緩やかに上昇し、投資利回りは低下傾向、すなわちイールドスプレッドの縮小が指摘されています。
背景には、国内外投資家による不動産投資需要の継続や、オフィスや物流施設などへの安定需要があり、金利上昇後も直ちに価格調整が起こりにくい構図があります。
ただし、日銀もレポートの中で、市場参加者の期待が変化した場合には価格調整の可能性があるとしており、今後の金利動向と不動産市況の両方を見守る必要があります。

不動産投資家のマインドについては、調査結果から「選別しながらの投資継続」という姿勢が読み取れます。
日本不動産研究所の「第54回 不動産投資家調査」では、主要な用途について期待利回りが概ね横ばいから小幅な変化にとどまる一方、優良物件への投資意欲は引き続き高いと整理されています。
同時に、全日本不動産協会などが示す市況見通しでは、金利上昇を意識しつつも、賃料水準や需要の堅調さを前提に、慎重さと前向きさが混在した見方が多い状況です。
そのため、投資家全体としては、金利上昇を理由に一斉に市場から退くのではなく、物件の立地や用途、賃料成長余地をより重視しながら投資判断を行う傾向が強まっているといえます。

指標 足元の傾向 投資判断への示唆
地価動向 全国平均で緩やか上昇 急落ではなく選別重視
賃料・利回り 賃料上昇と利回り低下 インカム重視の長期視点
投資家マインド 慎重姿勢と投資継続 立地・用途の厳格な選別

不動産投資家が押さえるべき今後5~10年の市況予測

今後5~10年を展望すると、日本銀行が政策金利の引き上げを段階的に進め、長期金利も緩やかに上昇していくとの見方が有力です。
みずほリサーチ&テクノロジーズの試算でも、金利が上がりつつも実質金利は小幅な範囲にとどまり、不動産価格とキャップレートがともに緩やかに上昇する姿が示されています。
また、全日本不動産協会の市況見通しでは、金利上昇局面においても不動産価格全体としては直ちに下落局面入りしていないことが指摘されています。
したがって、不動産投資家にとっては、急激な調整よりも、金利と賃料の変化がじわじわと効いてくる期間を想定した戦略が重要になります。

こうした金利の追加上昇シナリオでは、賃料成長が続く限り、純収益の増加が価格の下支え要因となります。
みずほ銀行の分析によると、経済成長と物価上昇が一定程度進む場合、不動産価格は上昇ペースを落としながらも、緩やかな上昇基調を維持するケースが想定されています。
同時に、キャップレートは歴史的な低水準からわずかに上昇し、収益の伸びが価格上昇率をやや上回るとの見方が示されています。
このため投資家としては、金利・賃料・キャップレートがどの程度まで動いても保有物件のキャッシュフローが維持できるか、複数パターンで検証しておくことが求められます。

次に、人口減少と空き家増加という長期構造要因を踏まえると、今後の不動産市場は用途や立地ごとの二極化が一段と進むと考えられます。
全日本不動産協会が紹介する統計でも、国内の総住宅数に占める空き家の割合は上昇傾向にあり、活用されないストックの増加が課題となっています。
一方で、日本不動産研究所の不動産投資家調査では、主要な投資対象エリアのキャップレートが依然として低水準にとどまり、投資マネーが集中している姿が確認されています。
このことから、不動産投資家は、賃料需要が底堅く、長期的に人口・雇用が集まりやすい立地や用途に重点を置くことが、市況の振れに耐えるうえで重要になります。

シナリオ 金利・物価動向 不動産価格・利回りの傾向
緩やかな金利上昇 実質金利小幅、物価安定上昇 価格緩やか上昇、利回り小幅上昇
経済成長停滞型 金利上昇、賃料伸び鈍化 価格下押し圧力、利回り上昇
インフレ持続型 物価・賃料上昇加速 賃料主導上昇、品質間の二極化

さらに、インフレと賃料上昇が投資用不動産価格に与える影響も、複数のシナリオで整理しておく必要があります。
みずほリサーチ&テクノロジーズの分析では、物価と賃料の伸びが金利上昇の影響を上回る場合、不動産価格は緩やかな上昇を続け、キャップレートも小幅ながら上昇する姿が示されています。
一方で、経済の拡大を伴わない「悪い金利高」となり、賃料成長や稼働率が鈍化する場合には、不動産価格の下落リスクが高まることも指摘されています。
不動産投資家としては、インフレ局面を味方につけるには、賃料改定余地や競争力のある物件を選別しつつ、金利上昇リスクを織り込んだ保守的な収支計画を持つことが重要になります。

金利上昇時代に不動産投資を検討・保有する方の実務チェックポイント

金利上昇局面では、まず保有物件ごとのキャッシュフローを細かく点検することが重要です。
日本銀行の金融システムレポートでも、政策金利の引き上げに伴い貸出金利が段階的に上昇していることが示されており、今後も金利負担の増加には注意が必要とされています。
そのため、賃料収入から空室・運営費・修繕費を差し引いた後に、どの程度の金利上昇まで元利返済を賄えるか、複数の金利水準を想定して確認しておくことが求められます。
加えて、日本不動産研究所の不動産投資家調査が示すように、投資家は金利上昇を前提に収益性を再評価し始めているため、自身の物件についても同様の視点で耐性を見極めることが大切です。

次に、ローン条件や返済比率、手元資金のバランスを見直すことで、金利上昇リスクを抑えることができます。
全日本不動産協会が公表した不動産市況の見通しでも、金融緩和の度合い調整が続く中で、返済負担の増加を過度に恐れる必要はないものの、無理のない返済計画を維持することの重要性が指摘されています。
具体的には、年間の元利返済額が賃料収入を含む年間収入に対してどの程度の割合となっているかを把握し、将来の金利上昇を織り込んでも返済比率が高くなり過ぎない水準を目安にすることが有効です。
また、一定期間分の返済額や修繕費に相当する現預金を確保し、突発的な空室や設備更新にも対応できるよう手元流動性を厚くしておくことが、安定運営につながります。

さらに、今後の購入や買い増しを検討する場合には、価格水準と利回り、賃料想定を総合的に確認する姿勢が欠かせません。
みずほリサーチ&テクノロジーズの分析によれば、金利が上昇しても実質金利が小幅な範囲にとどまり、純収益が増加する局面では、不動産価格とキャップレートがともに緩やかに上昇する可能性があるとされています。
このため、表面利回りだけで判断するのではなく、経費控除後の実質利回りや想定賃料の成長余地を検証し、金利上昇後もイールドギャップを確保できるかどうかを慎重に見極めることが重要です。
あわせて、日本不動産研究所の投資家調査が示す投資家マインドの変化も参考にしながら、自らのリスク許容度に応じた取得価格の上限と必要利回りを事前に整理しておくと判断がぶれにくくなります。

確認項目 主なチェック内容 重視するポイント
保有物件の収支 賃料収入と支出内訳の把握 金利上昇後の余剰資金
ローン条件 金利タイプと残存期間 返済比率と繰上返済余地
新規取得検討 価格水準と想定利回り 実質利回りと成長余地

まとめ

金利上昇局面でも、不動産価格は建築費や賃料の上昇に支えられ、全体としては急落しにくい状況が続いています。
一方で、今後5~10年は金利や人口動態の変化により、物件のエリアや用途で二極化が進むことが予測されます。
だからこそ、保有物件のキャッシュフローやローン条件を丁寧に点検し、購入検討物件の価格水準・利回り・賃料想定を冷静に見極めることが重要です。
自分の投資方針に合う戦略を一緒に整理したい方は、ぜひ当社へお気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら


”不動産購入コラム”おすすめ記事

  • 日銀の金利引き上げはどこまで?予想と住宅ローンへの影響を解説の画像

    日銀の金利引き上げはどこまで?予想と住宅ローンへの影響を解説

    不動産購入コラム

  • 清瀬市で新築一戸建てはどう選ぶ?子育て支援が充実した環境のポイント紹介の画像

    清瀬市で新築一戸建てはどう選ぶ?子育て支援が充実した環境のポイント紹介

    不動産購入コラム

  • 清瀬市で新築一戸建て探し!交通アクセスを比較して通勤しやすいエリアを解説の画像

    清瀬市で新築一戸建て探し!交通アクセスを比較して通勤しやすいエリアを解説

    不動産購入コラム

  • 清瀬市で新築一戸建て探しを始めた方へ!おすすめエリアの特徴と選び方を解説の画像

    清瀬市で新築一戸建て探しを始めた方へ!おすすめエリアの特徴と選び方を解説

    不動産購入コラム

  • 東村山市で新築一戸建てはどう選ぶ?子育て支援制度と環境を分かりやすく解説の画像

    東村山市で新築一戸建てはどう選ぶ?子育て支援制度と環境を分かりやすく解説

    不動産購入コラム

  • 東村山市で新築一戸建てはどう選ぶ?治安の良い地域と周辺環境を比較して解説の画像

    東村山市で新築一戸建てはどう選ぶ?治安の良い地域と周辺環境を比較して解説

    不動産購入コラム

もっと見る