
空家を売る際の手順は何から始めるべき?名義や費用も事前に確認しよう
近年、空家を所有したまま放置してしまう方が増えています。管理の手間や維持費、老朽化によるリスクなど、空家には様々な悩みがつきものです。「空家を売りたい」と考えても、何から始めればよいのか分からずお困りの方も多いのではないでしょうか。本記事では、空家を売却する際の基本的な流れや必要な準備、手続きや費用など、知っておきたい項目を分かりやすく解説します。売却をスムーズに進めるための第一歩を、一緒に踏み出しましょう。

空家売却の基本的な方法と流れ
空き家を売却する際には、主に「仲介による売却」「買取による売却」「空き家バンクなどを活用した仕組み」の三つの方法があります。
仲介による売却は、不動産会社に相談して媒介契約を結び、売却活動を進めていく一般的な方法です。不動産会社が買主探しや広告活動を行い、買主が見つかれば売買契約、最後に引き渡しという流れになります。ただし、買主が見つかるまで数か月から数年かかる場合もあり、その間固定資産税などの維持管理費が継続して発生する点に注意が必要です 。
買取による売却は、不動産会社などが空き家を現況のまま買い取る方法です。買主探しが不要なため手続きがスピーディーで、内覧の立ち会いや残置物処理などの負担を大きく軽減できます 。
空き家バンクなどを使った売却は、自治体が所有者と購入希望者をつなぐ制度を利用する方法です。自治体の公式サイトに登録し、物件情報が掲載された後、問い合わせ、内見、申し込み、契約という流れになりますが、必ず買い手が見つかる保証がない点や、中には移住希望者向けの条件が付けられることもあります 。
以下に、三つの方法を簡単に比較した表をご紹介します。
| 方法 | 特徴 | 主な利点 |
|---|---|---|
| 仲介 | 不動産会社が買主を探す | 市場価格で売れる可能性が高い |
| 買取 | 不動産会社が空き家をそのまま買い取る | 短期間で確実に売却でき、手間が少ない |
| 空き家バンク | 自治体が情報提供・仲介支援 | 条件によっては補助制度も利用可能 |
売却前に確認すべき名義や権利関係、登記手続き
空き家を売却する際には、名義や権利関係をきちんと整理しておくことが不可欠です。まず、相続によって空き家を取得した場合は、所有名義が故人のままでは売却できません。令和6年4月から「取得を知った日から3年以内」に相続登記が義務付けられ、違反すると10万円以下の過料が科される点にも注意が必要です。この登記は固定資産税評価額の0.4%の税率により登録免許税が課されます。必要書類や手続きの内容、司法書士へ依頼した際の相場費用もしっかり確認し、早めに進めることが大切です。
| 確認・手続き項目 | 内容 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 相続登記 | 故人から相続人へ所有者名義を変更 | 登録免許税:固定資産評価額×0.4%、司法書士報酬:5万円〜15万円程度 |
| 抵当権抹消登記 | 住宅ローン等の担保設定を解除 | 登録免許税:不動産1件につき1,000円、司法書士報酬含む合計:約2万円前後 |
| 境界確定測量 | 売却後のトラブル防止のため境界線を明確化 | 土地規模や形状により変動(目安:数十万円〜) |
まず、相続登記については、戸籍謄本や遺産分割協議書、固定資産評価証明書など必要書類をまとめ、法務局へ申請する必要があります。司法書士に依頼する場合、報酬の相場は概ね5万円から15万円程度で、書類収集や申請まで含めたトータル依頼なら相場よりも高くなるケースがあります。登録免許税の計算は、たとえば固定資産評価額が1,000万円であれば0.4%で4万円ほどとなりますので、事前に把握しておきましょう。
次に、抵当権が設定されている場合には、完済後でも登記上は残ったままとなっていることがあります。抹消登記が済んでいないと売却できませんので、不動産1件あたり1,000円の登録免許税に加え、司法書士へ依頼する場合には合計で2万円程度の費用が目安です。
さらに、土地の境界が不明瞭なままでは、買主や隣地所有者との紛争に発展するリスクがあります。経済産業省なども境界確定測量の実施を推奨しており、売却前に測量業者へ依頼し、土地の形状や境界線を明確にしておくことが、安心な取引のために有効です。この測量費用は土地の広さや形により異なりますが、一般には数十万円~のコストが必要となります。

売却時にかかる主な費用と税金、その軽減策
こちらでは空き家の売却にかかる費用や税金を、具体的な項目ごとに分かりやすくご説明いたします。また、節税につながる特例についても触れ、より手元に残る金額を確保するための情報をお届けいたします。
| 項目 | 内容 | 目安 |
|---|---|---|
| 仲介手数料 | 売却額に応じた割合で算出される成功報酬(消費税別) | 「売却額×3%+6万円(税込別)」が上限(例:4,000万円→約126万円) |
| 印紙税・登録免許税 | 契約書に貼る印紙税および所有権移転にかかる登録免許税 | 印紙税:売却額により1万円程度〜(例:4,000万円→1万円)/登録免許税:数十万円規模 |
| その他費用 | 解体費、測量費、抵当権抹消、専門家への報酬など | 数千円〜数十万円単位、解体は約100万〜150万円 |
まず、仲介による売却では、売却額に応じた仲介手数料が発生いたします。上限は「売却額×3%+6万円(税別)」で、たとえば4,000万円の空き家を売却した場合は、約126万円が目安です(消費税は別途必要です)。なお、取引額が低廉な空き家(たとえば800万円以下)には、特例として一律の上限報酬(30万円+消費税)が適用される場合があります。
次に、印紙税は売買契約書に貼付するもので、売却価格に応じて数千〜数万円程度です。たとえば4,000万円の契約書では1万円となります。また、所有権移転の登記には登録免許税がかかり、たとえば建物3,000万円・土地1,000万円で計算すると登録免許税は合計約75万円、これに司法書士報酬(約1万5千円)を加えると約76万5千円となります。
その他の費用としては、解体や測量、抵当権抹消、専門家報酬などがあります。解体費は木造戸建て20~30坪程度で100万~150万円前後かかるケースが一般的です。測量の費用は40万~50万円程度、抵当権抹消には1件あたり約1,000円(2件で2,000円)かかり、専門家報酬(登記等)は5万~10万円程度が相場です。
税金面では、売却益(譲渡所得)には所得税・住民税が課されますが、相続した空き家などには「3,000万円の特別控除」があります。2025年現在もその要件が続いており、相続後3年以内かつ制度の期限(2027年12月31日)までに売却することで、3,000万円までの利益に対して課税されません。そのほか、耐震リフォーム等の条件を満たす場合に適用される控除もあり、工事費の10%(上限25万円)が受けられます。
以上のように、空き家売却にはさまざまな費用や税金が発生いたしますが、特例や制度を活用することで大きく軽減できる可能性がございます。売却を検討される際には、予めこれらの費用を整理し、節税に向けた計画を立てられることをおすすめいたします。

各方法を選ぶ際の判断ポイント
空き家を売却する際には、売却の目的やご事情に応じて、以下のような判断ポイントを押さえることが大切です。
| 選び方 | 向いている方 | 注意すべき点 |
|---|---|---|
| 買取 | 早く現金化したい方、手間をかけたくない方に適しています | 売却価格は市場価格より低くなることが多い(市場価格の約7〜8割程度)ため、価格重視の方は注意が必要です |
| 仲介 | できるだけ高く売りたい方や市場価格に期待したい方に向いています | 売却に時間がかかりやすく(通常3〜6ヶ月程度)、仲介手数料が発生します |
| 空き家バンク(自治体) | 自治体の制度を活用したい方、自分で管理しながら売買を進めたい方に向いています | 手続きや交渉を自ら行う必要があり、専門的対応が求められることや売却まで時間がかかることがあります |
まず、買取は、不動産会社が直接買い取ってくれる方法で、売却までの期間が非常に短い点が特徴です。あくまで「現況有姿」での引き渡しが原則のため、内覧や販売活動に時間をかけたくない方には大きなメリットがあります。ただし、市場価格より低い価格になる傾向がある点にはご留意ください(売却価格は市場価格の70〜80%程度になる場合もあります)。
次に、仲介は、専門の不動産会社が広告宣伝や購入希望者の対応などを行う一般的な売却方法です。時間に余裕があり、なるべく高く売りたい方に適しています。ただし、売却までに3〜6ヶ月程度かかることがあり、売買成立時には仲介手数料が発生する点を押さえておきましょう。
最後に、空き家バンク制度を利用する方法は、自治体が運営・紹介するマッチング制度です。掲載料や仲介手数料が不要である点が魅力ですが、売主自身で内覧対応や交渉、契約手続きなどを行う必要があります。専門的な知識が要求されることや、売却までに時間を要するケースもあるため、時間や労力に余裕がある場合に向いています。
このように、それぞれの方法には明確な特性や向き・不向きがあります。売却目的やタイミング、価格への期待などを踏まえて、ご自身にとって最も適した方法を選ぶことが重要です。
まとめ
空家を売却する際は、まずご自身の状況に合った方法を選ぶことが重要です。不動産会社を通じた仲介や買取、自治体の空き家バンクなど、各方法に特徴と流れがあります。売却前には名義や権利関係、登記手続きの確認も欠かせません。また、必要な費用や税金の知識をもっておくことで、予想外の出費や手続きの戸惑いを減らすことができます。しっかりと準備し、安心して手続きを進めていきましょう。
